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ジャヌビアやグラクティブで糖尿病網膜症が増加!?
糖尿病薬の副作用について調べていて、たまたま全日本民医連様のサイトがヒットして気になる記述を発見しました。以下は引用です。
シタグリプチンの臨床試験の時に傾向が出ているのが、網膜症の増加です。(中略)脆弱な新生血管が増えることで網膜症が発症するわけですから、VEGFが活性化することで網膜症の頻度が増える可能性は否定できません。
ふーむ…シタグリプチンというのは、商品名ジャヌビア、グラクティブで知られたDPP-4阻害剤という糖尿病薬です。
じつは私もある友人もグラクティブ錠50㎎を服用し始めてから糖尿病網膜症になり、私は左目が黄斑浮腫になったのです。
そのことをTwitterの匿名の若手糖尿病内科医さんに話したところ「そんなことあるわけがない、じつは飲む前から網膜症だったのを医師が見逃していたんじゃないですか?」と言われてしまいました💦
私が糖尿病と診断された3日後に目を検査してくれた医師はベテラン医師でしたから、そうそう病変を見逃すとは思えないのですが…
民医連様のサイトに実際にシタグリプチンで網膜症が増えたと書かれているのですから、何かあるはずだと思って調べてみることにしました。
DPP-4阻害剤はインスリン分泌を促す糖尿病薬です
日経メディカル様の「処方薬大辞典」を見ますと、ジャヌビアの「主な副作用」欄に「糖尿病網膜症悪化」と書かれています。
グラクティブの「主な副作用」欄にも同様に「糖尿病網膜症悪化」と書かれています。やっぱり…
グラクティブの「糖尿病網膜症悪化」の副作用が起きるのは0.1~2%と書かれていますけど、100人にひとりだとしてもたまたまそれが自分に起こってしまったとしたら?
では、なぜジャヌビアやグラクティブで糖尿病網膜症が増えるのでしょう?DPP-4阻害剤は食事をしたときにインスリン分泌を促進する糖尿病薬です。
未治療だった重症の糖尿病患者にそれまで糖尿病網膜症は無かったのに、インスリン治療を始めた後で糖尿病網膜症になるケースはしばしばあるそうです。
食後だけとはいえインスリンを分泌させる飲み薬で糖尿病網膜症が生じてもおかしくないですよね…2型糖尿病ではインスリンが効きにくいことが多く、健康な方よりも大量のインスリンが出ます。
薬でVEGFが活性化するとどうなる?
もうひとつ気になるのが、民医連様のサイトに書かれていた『VEGFが活性化することで網膜症の頻度が増える可能性は否定できません』です。
つまりジャヌビアやグラクティブを飲むことによってVEGFが活性化する…ということですよね?他の情報を探してみましょう。
『DPP-4阻害剤投与後新規発症・憎悪した関節リウマチ・関節炎、シェーグレン症候群その他自己免疫性疾患の症例報告』に情報がありました。
シタグリプチンを投与後約4週間で、血液中のSDF-1αが50%も増加したそうです。このことがVEGF(血管内皮増殖因子)を増加させた結果、糖尿病黄斑浮腫が生じるのではないかというスライドがありました。
私のブログ記事『糖尿病で新生血管ができたり血管から血液成分が漏れやすくなるのはなぜ?』より
VEGFは新しい血管を増やしたり血管の透過性を亢進させる働きを持ちますが、これが必要以上に増加すると目の新生血管(細くて脆い血管)が出来たり血液中の成分が漏れて黄斑浮腫になるのでしたよね。
糖尿病黄斑浮腫の治療で目に注射をすることがありますけど、あの抗VEGF薬は目の新生血管の成長を抑制する作用があるので効果があるんですよね(そしてめちゃくちゃ高価!!)。
つまりDPP-4阻害剤を服用しながら糖尿病黄斑浮腫の治療のために高価な抗VEGF薬注射を行うのは、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものではないでしょうか。
どの糖尿病薬にも必ず副作用はあるから…
DPP-4阻害剤を服用したからと言ってすべての糖尿病患者の糖尿病網膜症が悪化したり黄斑浮腫が生じるわけではありません。
1型糖尿病でも2型糖尿病でも、糖尿病網膜症になりやすい傾向や進行しやすい傾向が遺伝子によって決定されていることが分かりました。
もしかすると、DPP-4阻害剤によって糖尿病網膜症になりやすい人とそうでない人がいるのかもしれませんね。
どんな薬にも必ず副作用があり、たまたま何ともない方もいますが副作用が出てしまう方もいます。
しかし、糖尿病網膜症がすでにある方や身内に糖尿網膜症の方がいらっしゃる場合はそのような副作用のリスクを考えて別の薬を選択したほうが良いかもしれませんね。
良い事ばっかりっていう薬はないんだもんね!
そうよ、だからよく考えて薬を選ばないといけないのね。
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