糖尿病網膜症患者は白内障や緑内障にもかかりやすいの?
緑内障は、目から入ってきた情報を脳に伝える「視神経」に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなっていき失明することもある病気です。
白内障は、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気です。進行した場合は手術で人工のレンズを入れることによって視力の回復が期待できます。
私がまだ幼稚園の頃、家にあった「家庭の医学」の本に「青そこひ(緑内障)」「白そこひ(白内障)」が写真付きで載っていて、子供心にそれはそれは怖くてたまらなかったのを覚えています。
↑↑↑手塚治虫さんの漫画『ブラック・ジャック』の「光る目」という回では、緑内障の少年が手術を受ける話が描かれています。
さて、糖尿病網膜症とは直接関係がなさそうな「緑内障」「白内障」という2つの目の病気ですが、糖尿病患者はこれらの病気にもかかりやすいという話を聞きませんか?
ただでさえ糖尿病網膜症で目に不安があるのに、このうえ緑内障や白内障にもかかりやすいとしたら本当にユウウツになりますが…
糖尿病と白内障の関係は?
一般的に「白内障」と呼ばれているものは加齢に伴う「加齢性白内障」でしょう。 80歳以上になるとほぼ100%の人に白内障による視力低下が認められるそうです。
通常、加齢性白内障は40歳未満の若い人には起きないのですが、若い方が高血糖状態が続いたために発症した白内障を「真性糖尿病性白内障」、加齢性白内障を既に発症している高齢者が糖尿病を患った場合を「仮性糖尿病性白内障」と呼ぶそうです。
高血糖状態が長く続くことによって目の水晶体の中にソルビトールという糖やAGEs(最終糖化産物)が蓄積することで水晶体が白く濁ってくるのだそう。
ソルビトールはリンゴやプラムなどバラ科の植物にも含まれていて、食品添加物としても使われています。
血糖値が高すぎる時、エネルギーとして利用されなかったブドウ糖が代謝されるときにどんどんソルビトールがたまっていき、糖尿病合併症の原因になると考えられます。
AGEsは体内で糖とタンパク質が結びついてできるのですが、糖尿病を発症してから長期間が経過している患者たちを調べたところ、過去の血糖値よりもAGEsの血中濃度が糖尿病合併症と関連していることが分かったそうです。
ソルビトールもAGEsもいろいろな食材に少しは含まれていますが、それよりも高血糖に伴ってヒトの体内で大量に発生してしまうことのほうがはるかに影響が大きいのでしょう。
真性糖尿病性白内障は20代~30代の若い人が糖尿病の影響で発症するもので、加齢性白内障と比較すると進行するスピードがかなり速いのだそう。
また、加齢性白内障は40歳を過ぎてから少しずつ発症・進行する病気です。40代以降で糖尿病のある患者が白内障になった場合、通常の加齢性白内障よりも進行が速い傾向があるそうなのでやはり気を付けなければいけません。
37歳で糖尿病と診断された私は何年間も糖尿病に気づかず放置していたのですでに糖尿病網膜症がありますが、幸い5年経っても今のところまだ白内障と言われたことはありません。
真性糖尿病性白内障はなんとか免れたようですが、これからは年齢的にも気を付けないといけないなぁと思っています。
白内障は手術で濁った水晶体を人工のレンズと取り換えるのですが、血糖値が高い状態で白内障手術をすると糖尿病網膜症が急激に進行するリスクがあるとのこと!
糖尿病と緑内障の関係はどうでしょう?
日本人の緑内障の7割以上は、眼圧が正常にもかかわらず起こる「正常眼圧緑内障」です。しかし眼圧が高いと緑内障になりやすく、糖尿病患者は健康な人と比べて有意に眼圧(目の中の圧力、目の硬さ)が高いことが分かったそうです。
血糖値が高いことで眼の中を循環する水の出口が詰まりやすくなり、眼圧が上がるのではないかと考えられています。
「十分なインスリンが分泌されないか、インスリン抵抗性で十分にインスリン作用が働かなくなった中枢神経では、アルツハイマー病や緑内障が起こる可能性が高まる」と考える医師もいらっしゃいます。
残念ながら緑内障の場合、白内障のように「手術で目のレンズを取り換えれば治る」と言う病気ではなく「これ以上病気が進行しないように食い止めよう」という方針になります。
私は糖尿病と診断されたとき、1型糖尿病ではないかと疑われたぐらいインスリン分泌能力が低下しておりインスリン注射を始めました。そして治療開始後に糖尿病網膜症・黄斑浮腫・高眼圧症になりました。
幸い、眼圧が高いだけでまだ緑内障ではないそうです。目薬を使っても最初はなかなか下がらなかった眼圧も、今では正常値でキープできているのでとりあえずは安心しているところですが油断は禁物です。
糖尿病網膜症になったから緑内障や白内障になるわけではない
こうして考えてみると「糖尿病網膜症を発症したから緑内障や白内障にもかかる」というわけではなく、「糖尿病網膜症になるような状態では緑内障や白内障にもかかりやすい」ということではないでしょうか。
高血糖の状態が長く続くことや、それに伴って血糖値を下げるホルモンの「インスリン」が出すぎることはこれらの病気の発症のリスクを上げます。
特に2型糖尿病の場合、インスリンの効きが悪くなっているので、血液中のインスリンは健常者よりも多いけれど血糖値を正常値まで下げるには十分ではない…ということになりがち。
糖尿病網膜症の発症や進行を予防するような生活を心がけていれば、緑内障や白内障になるリスクも糖尿病ではない方と大差ないと信じてこれからも気を付けて行きます!